耐熱温度の関係で、ゴムや樹脂などの高分子フィルムにはCNTを直接成長させることはできません。 しかし、無機耐熱基板に垂直配向CNTを一旦成長させてから、熱加圧の簡単な方法によって、 垂直配向CNTを基板から樹脂フィルムなどに転写することができます。 特に当社の長尺配向CNTは転写しやすい特徴があり、各種高分子フィルムなどの基材に転写できます。
転写後のCNTは、一方のCNT成長先端が樹脂やゴムフィルムに埋もれて固定され、もう一方のCNT成長根元はフィルムの表面にブラシのように露出します。 露出しているCNT根元部分は柔らかく任意に曲がりますので、接触抵抗が小さく、わずかなコンタクト圧でも良い導通が取れ、独特な表面接触抵抗特性を示します。 さらに、ゴムシートに転写した場合、ゴムシートを大幅に伸ばしても切れることなく、導通が保たれます。 ウェアラブルデバイス、ロボット、ヘルスケア、人工筋肉、エラストマーのアクチュエーター、 エラストマー発電などの分野での電極としての利用が期待されています。
伸縮性/フレキシブルな機械特性に加え、CNTの導電性、熱導電性、電磁波吸収特性、高比表面積、耐薬品性などの 特性を各種高分子フィルムに付与することができます。 ご希望の樹脂フィルムやゴムシート、あるいは紙などの基材に配向CNTを転写させたサンプルの有償提供や試作を承っております。
垂直配向CNTはフレキシブルで弾性力を有するため、ゴムのシートやフィルムに転写すると、ゴムの伸縮性を損なうことなく、 導電性、熱伝導性、電磁波吸収特性などを持たせることができます。特に面直方向での熱伝導を要求するTIM等の用途に最適な構造です。
シリコーンゴム、フッ素樹脂ゴムなど多種ゴムに転写できます。
配向CNT膜を転写させたゴムフィルム。
伸ばしても、導電性や膜構造は変わりません。
シリコン基板(右上)に成長した垂直配向CNT膜の一部をフッ素樹脂ゴムシート側(右下)に転写して得られたCNT膜付き導電ゴムシート。
垂直配向性でありながら、面内方向の導電性も高い。